質問者:
一般
砂川 学
登録番号2399
登録日:2011-02-25
カリウム(K)は、窒素(N)、燐(P)とともに、植物の3大栄養素とされ、全ての生物に、多量に必要とする元素です。窒素(N)は、蛋白質や葉みんなのひろば
カリウム(K)について、教えて下さい。
緑素、遺伝子の元となる核酸の主要な元素で、燐(P)も核酸やエネルギー
物質(ATP)の構成要素で、カリウム(K)は、細胞内の電解質の主成分
です。
カリウムの機能について、調べていて
カリウムが植物内の様々な化学反応を進める進行役(補酵素)である
という記述を見つけました。この点について、もう少し詳しく教えて下さい。できれば、文献名も教えていただければ、幸いです
砂川 学様
質問コーナーへようこそ.歓迎いたします。
第二の人生を農業で過ごそうとしておられるとのこと、少々羨ましい気もします。ご質問はそのための勉強の一環であると拝察いたします。御存知のように、植物の細胞の構築材料となる元素は、C, H, O, N, P, S などですが、他にK, Na, Ca, Mg, Mn, Co, Mo 等々の無機イオンが成長には必須です。これらのイオンの役割は、簡単に言ってしまえば、細胞内の諸生化学反応の調整(活性化など)です。Kの主たる役割は諸酵素の活性化にあると言ってよいかもしれません。活性化とはつまり生化学反応の基質と酵素の結びつきを良くして酵素の触媒作用をスムースかつ効率よく進行させることです。
現在少なくとも60種類の酵素がその適正な働きのために、Kイオンの存在を必要とすることが知られています。酵素の働きにKが必要だという事が明ら かにされたのはピルビン酸キナーゼという酵素についてですが、60年以上前のことです。詳しい文献を知りたいとのことですが、もし、専門的な雑誌でもよいのでしたら、次の小総説がいいでしょう。Kが酵素タンパク質の構造とどのように関わっているのかもいくつかの酵素について分かってきています。
Enrico Di Cera (2006) ”A structural perspective on enzymes activated by monovalent cations.”
The Journal of Biochemistry Vol.282 (No.3):1305-1308.
Internet で 上記英語のタイトル ”ーーーーーー”を打ち込んで検索すればみられます。また、この論文はダウンロードできます。
植物におけるKの働きをまとめてしまえば、次のようになります。
1)酵素の活性化(補酵素);2) 細胞内pH、イオンバランスの調節(光合成、タンパク質合成などのための適正なpHの維持等に)3) 気孔の開閉 (気孔の孔辺細胞へのK出入りで浸透圧が調節されます。みんなの広場のエッセイ気孔の開閉や過去の他の関連質問への回答を読んで下さい)など。
なお、一般的な日本語の参考書は次の本が良いのではないでしょうか。
植物栄養学 2版 森・前・米山著 文永堂出版
新植物栄養学・肥料学 米山他著 朝倉書店
土壌・植物栄養学 上田著 三恵社
質問コーナーへようこそ.歓迎いたします。
第二の人生を農業で過ごそうとしておられるとのこと、少々羨ましい気もします。ご質問はそのための勉強の一環であると拝察いたします。御存知のように、植物の細胞の構築材料となる元素は、C, H, O, N, P, S などですが、他にK, Na, Ca, Mg, Mn, Co, Mo 等々の無機イオンが成長には必須です。これらのイオンの役割は、簡単に言ってしまえば、細胞内の諸生化学反応の調整(活性化など)です。Kの主たる役割は諸酵素の活性化にあると言ってよいかもしれません。活性化とはつまり生化学反応の基質と酵素の結びつきを良くして酵素の触媒作用をスムースかつ効率よく進行させることです。
現在少なくとも60種類の酵素がその適正な働きのために、Kイオンの存在を必要とすることが知られています。酵素の働きにKが必要だという事が明ら かにされたのはピルビン酸キナーゼという酵素についてですが、60年以上前のことです。詳しい文献を知りたいとのことですが、もし、専門的な雑誌でもよいのでしたら、次の小総説がいいでしょう。Kが酵素タンパク質の構造とどのように関わっているのかもいくつかの酵素について分かってきています。
Enrico Di Cera (2006) ”A structural perspective on enzymes activated by monovalent cations.”
The Journal of Biochemistry Vol.282 (No.3):1305-1308.
Internet で 上記英語のタイトル ”ーーーーーー”を打ち込んで検索すればみられます。また、この論文はダウンロードできます。
植物におけるKの働きをまとめてしまえば、次のようになります。
1)酵素の活性化(補酵素);2) 細胞内pH、イオンバランスの調節(光合成、タンパク質合成などのための適正なpHの維持等に)3) 気孔の開閉 (気孔の孔辺細胞へのK出入りで浸透圧が調節されます。みんなの広場のエッセイ気孔の開閉や過去の他の関連質問への回答を読んで下さい)など。
なお、一般的な日本語の参考書は次の本が良いのではないでしょうか。
植物栄養学 2版 森・前・米山著 文永堂出版
新植物栄養学・肥料学 米山他著 朝倉書店
土壌・植物栄養学 上田著 三恵社
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2011-03-04
勝見 允行
回答日:2011-03-04