一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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気孔から水が浸入することはありますか?

質問者:   一般   みりん
登録番号3141   登録日:2014-09-03
気孔から水が浸入することはありますか?
降雨や水やりなどで植物の葉に水滴が付いた場合、気孔はどうなるのでしょうか。
また、ガーデニングの際、植物の葉に霧吹きで水をやることがあります。
その効果として、植物の葉をうるおすというものがありますが、それは気孔から水分を取り入れているということでしょうか。
蒸散で気孔から水蒸気として水分を逃がすことがあっても、取り入れることはあるのでしょうか。
植物は根以外のところから水を吸収することはあるんですか?

植物の葉の裏に気孔が多い理由は、水滴やほこりを避けるためという記述を見て疑問に思い質問させていただきました。
葉に水滴がつくことなんてよくあるのに、支障があるものなのでしょうか。

質問が散らかっていて申し訳ありませんが、要すればタイトルの通りです。
ご回答よろしくお願いします。
みりん さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
登録番号2735に解説されているように雨が降って葉が濡れても気孔は閉じないようです。気孔の孔は小さいので雨滴でふさがれることはあるはずです。
「気孔から水分を取り入れるかどうか」。気孔には、一対の孔辺細胞の下(葉の内部側)に柔細胞で囲まれた空隙があります。土壌水分が十分で根の水吸収が十分のときは気孔の柔細胞は水でいつも張った状態です。光が十分で気孔が開いているときには気孔内空気の水分状態は細胞内水分よりも低いので水は細胞から外気側へ移動します(蒸散)。この逆の状態のとき、根の水分吸収が少なく、葉が多少しおれ気味の雨にぬれれば、気孔内細胞は水を吸収します。水の排出、吸収は気孔を通した蒸散作用だけではなく、わずかですが体表面全体からも起きています。体表面にある表皮細胞の外面はクチクラという水が通りにくい物質で覆われていますが、体内の水はこれら表面からも少しずつ失われています。外の水あるいは空気中の水蒸気が植物体内に吸収されるためには、体内の水がかなり失われた、いわゆる萎れた状態(この状態では気孔は閉じます)でなければなりませんが体表面から吸収される水の量はこの萎れを回復するほどではありません。根からの水の供給が圧倒的に多いのです。ただし、葉はごくわずか水を失っても「萎れた」状態になりますが、それは細胞壁成分がまず水を失って葉全体が「柔らかく」なったもので細胞の膨圧までは大きく減少していない状態もあるようです。このようなときには、葉全体を水の中に浸すと細胞壁成分が水を吸収して葉の張りが回復することがあるようです。
「葉の裏側に気孔が多い」点についてはこのコーナーの登録番号0634で明快に説明されていますのでご覧ください。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2015-05-15
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