質問者:
教員
リーダー
登録番号3207
登録日:2014-12-18
タラヨウの葉が、傷つけられると防衛反応として、その成分の1つであるタンニンが酸化して褐色のかさぶたのようになる現象に興味を持ち、いろいろと調べてみましたが分からないことがあるので質問させていただきました。みんなのひろば
タラヨウのタンニンについて
1、タンニンには加水分解性のものと縮合型のものがあるようですが、タラヨウのタンニンはどちらでしょうか。「前者は離弁花植物に限られ、後者は植物界に広く分布している」(登録番号1152)とのことですが、タラヨウが合弁花か離弁花なのか調べてみましたがわかりませんでした。また、雌雄でタンニンの量は違うのでしょうか。
2、タンニンという呼び名はフェノール化合物の総称のようですが、酸化して褐色化させる原因の成分はフェノール系の何という成分なのでしょうか。
3、その成分もしくはタンニンをタラヨウから抽出するのに適した方法はありますでしょうか。熱抽出というものがあるようですが、(登録番号1816)「熱(水)抽出物の中には多くの他の化合物が含まれており、例えば抗酸化能のあるビタミンCなども含まれている」ということなので、前出の成分だけを抽出することは難しいのでしょうか。
4、タラヨウの葉の防衛反応は、りんごの反応(登録番号1184)「りんごが何らかの原因で細胞が傷を受けると液胞のフェノール類と、液胞以外の細胞分画にあるフェノールオキシターゼが接触できるようになり、フェノール類が酸素によってポリフェノール(タンニン)に酸化される」という反応と仕組みや成分は同じでしょうか。
以上、教えていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
リーダー さん:
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
タラヨウの葉には傷をつけると傷の部分が黒褐色に変化するので「はがき」代わりにもなりそうなので「郵便局の木」などと呼ばれていますね。実際、タラヨウを植えている郵便局もあります。いくつかのご質問がありますので順にお答えします。
1.チャ葉、タラヨウ葉、(中国)タラヨウ属(Ilex属)(UK)の成分を比較分析した報文によればフェニルプロパノイド系列のフェノール物質, カテキン類がかなり含まれています。したがって、タラヨウのタンニンは加水分解性とみてよいでしょう。 タラヨウはモチノキ科の植物で離弁花植物とされていました。また、雌雄での成分比較はなされていませんがほぼ同じとみて差し支えないと思います。
2.タンニンの定義については登録番号1152に解説されていますのでご参照ください。タンニンはフェノール物質ですが、フェノール物質の全部がタンニンではありません。フェノール物質は酸素の存在下では酸化され易いものです。(ポリ)フェノールオキシダーゼがあれば酸化反応は速やかになります。前記報文の記載によれば、クロロゲン酸(異性体を含む)、L-カテキン、L-エピカテキン、L-エピガロカテキン-ガレート、L-エピカテキン-ガレートが確認されていますのでこれらが酸化重合して黒褐色になるとおもわれます。
3.特定の物質(群)だけを抽出する方法はありません。可溶性成分全部をまず抽出して、高速液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーで分離し、さらに質量分析器などを組み合わせて特定成分の同定を行う方法が今では一般的です。分析機器類の性能は極めて高くなっていますので、かなり少量の試料で分析が可能になっています。登録番号1816をご参照ください。
4.ご理解の通りです。ただし、ポリフェノール類(タンニンを含む)が酸化され、酸化物が重合して褐色物質となるものです。
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
タラヨウの葉には傷をつけると傷の部分が黒褐色に変化するので「はがき」代わりにもなりそうなので「郵便局の木」などと呼ばれていますね。実際、タラヨウを植えている郵便局もあります。いくつかのご質問がありますので順にお答えします。
1.チャ葉、タラヨウ葉、(中国)タラヨウ属(Ilex属)(UK)の成分を比較分析した報文によればフェニルプロパノイド系列のフェノール物質, カテキン類がかなり含まれています。したがって、タラヨウのタンニンは加水分解性とみてよいでしょう。 タラヨウはモチノキ科の植物で離弁花植物とされていました。また、雌雄での成分比較はなされていませんがほぼ同じとみて差し支えないと思います。
2.タンニンの定義については登録番号1152に解説されていますのでご参照ください。タンニンはフェノール物質ですが、フェノール物質の全部がタンニンではありません。フェノール物質は酸素の存在下では酸化され易いものです。(ポリ)フェノールオキシダーゼがあれば酸化反応は速やかになります。前記報文の記載によれば、クロロゲン酸(異性体を含む)、L-カテキン、L-エピカテキン、L-エピガロカテキン-ガレート、L-エピカテキン-ガレートが確認されていますのでこれらが酸化重合して黒褐色になるとおもわれます。
3.特定の物質(群)だけを抽出する方法はありません。可溶性成分全部をまず抽出して、高速液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーで分離し、さらに質量分析器などを組み合わせて特定成分の同定を行う方法が今では一般的です。分析機器類の性能は極めて高くなっていますので、かなり少量の試料で分析が可能になっています。登録番号1816をご参照ください。
4.ご理解の通りです。ただし、ポリフェノール類(タンニンを含む)が酸化され、酸化物が重合して褐色物質となるものです。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2014-12-26
今関 英雅
回答日:2014-12-26