一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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木の根の汁の成分と熱量

質問者:   会社員   TAIP
登録番号1009   登録日:2006-08-26
蝉の幼虫は木の根の汁を吸って成長するそうですが、木の根の汁がどのような成分で出来ており、どの程度の熱量があるのか教えて下さい。
TAIP さま

 みんなの広場へのご質問ありがとうございました。残念ながらセミが汁を吸っている木の根の汁についてはお答え出来ないのですが、普通の植物で葉から根へと向って流れている液体の成分については研究されていますので、そのことについて書きます。ご存知のように、植物の葉は光合成をしていろいろなものを作ります。葉で出来た物は篩管という管を通っていろいろな所へ運ばれます。篩管は根へもつながっており、光合成産物は篩管を通って根にも運ばれます。篩管液の成分を調べるのには、篩管液を集めなくてはなりませんが、これにはアブラムシとかウンカが利用されます。アブラムシとかウンカは篩管の中に口針を突っ込んで篩管液を吸っています。そこで、アブラムシやウンカが篩管液を吸っている時に口針を切るのです。すると、針の切り口から篩管液が溢れてきます。これを集めて調べるのです。篩管液の中に最も多く含まれているのはショ糖(砂糖と同じ物)で、 10 - 20 % も含まれています。10 -20 %の砂糖水を舐めてみて下さい。すごく甘く感じると思います。その他アミノ酸なども含まれています。そのような液が根へと運ばれているので、セミの幼虫が吸っている汁は、幼虫の生育をまかなうに十分の熱量を備えていると思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2006-08-28
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