一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ラクッコピコリンの謎

質問者:   小学生   ごくう
登録番号1015   登録日:2006-08-29
お母さんがレタスの茎に長持ちするからと、濡れたキッチンペーパーをはって、保管しているのを見て、疑問に思いました。
何故・・・次の日にキッチンペーパーは、ピンクになるのか?色々調べて見たら、レタスの茎には、ラクッコピコリンという成分が沢山ふくまれている事が解りました。
しかし、ラクッコピコリンについて調べると、眠気を誘う成分・・・という事しか、わかりませんでした。もう少し、詳しく知りたいので教えて下さい。
ごくう さん:

日本植物生理学会 みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。ラクッコピコリンの謎と題するご質問は登録番号1015として受け付け、回答をお送りします。

お母さんが、レタスを長持ちさせようとなさっていることを理科の実験にしてしまいましたね。ちょっとしたことや、細かいことを注意深く観察すると、いろんな疑問がわいてきますね。レタスの茎を切ると切り口がピンクになることの仕組みについて、小学生のごくうさんには、少しばかり難しい答えになってしまうかもしれませんが、分からないことがあったらまた質問してください。生物の体は細胞という小さな袋がたくさん集まって出来ています。この細胞の中にも、さらに小さな、いろんな形の袋があります。この小さな袋類の1つにはいろいろな物質がためられています。果物の甘さや酸っぱさの元になる成分も、この袋の中に入っています。その中に、フェノール物質といって、とても酸化されやすい物質も含まれています。細胞の中の小さな袋の外側には、細胞が生きていくために大切な酵素というものがあり、細胞の活動を支えていますが、その酵素の中にフェノール酸化酵素という酵素があります。茎を切ると切り口の細胞はこわれ、そのとき細胞の中の小さな袋もこわれて、フェノール物質とフェノール酸化酵素とが混ざり合います。そのため、フェノール物質の酸化が起こります。酸化されたものは、はじめはうす茶色ですが、タンパク質やアミノ酸などと結合して赤や茶色に変わります。レタスにあるフェノール物質の量は少ないのでうすい赤(ピンク)色になるという仕組みです。リンゴやジャガイモを切って、そのままおいておくと同じように切り口が茶色、赤、褐色などに変わりますが、これも同じ仕組みです。
レタスに含まれるラクッコピクリンについては、0259に詳しく説明されていますので、参考にしてください。ラクッコピクリンもフェノール物質の仲間ですが、これが酵素で酸化されて色がでるかどうかは分かりません。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2006-09-09
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