一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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受精を確認する方法

質問者:   中学生   夏姫
登録番号1069   登録日:2006-10-04
受精と閉花の因果関係を調べています。花粉管が花柱最下部まで到達したのを受精と考えてもいいですか?また 科学的に受精を確認する方法はありますか?
夏姫さま

 いつも、みんなの広場へご質問をお寄せ下さりありがとうございます。担当の柴岡です。夏姫さんがご自身で観察なさっておられるので、ご存知のことと思いますが、受粉が行われたあと、どんなことが起きるのかから始めましょう。開花時に一時停止していた子房の生長が始まります。花びらや雄しべが萎れ、やがて脱落します。この現象を着果と呼んでいます。着果は受粉によって起きます。着果には受精は必要ありません。このことは、花粉管の先端がまだ胚のうに到着しない内に着果が始まることとか、違う植物の花粉を柱頭につけても着果が起こることとか、花粉でなくて花粉の抽出物でも着果が起きることなどから言われているのです。ということで、閉花と関係しているのは受精ではなくて、受粉なのです。花粉管の先端が花柱の基部に達しても受精したとは言えません。花粉管の中の精細胞が胚のうの中の卵細胞と合体して始めて受精と言えます。以前、夏姫さんのご質問の回答をお願いした東山さんはトレニアを材料にして、受精の観察に成功していますが、これはトレニアでは胚のうが胚珠の外に出ているという特殊な状況にあるからでのことで、他の植物では受精を確認することは困難です。開花時に一時停止していた子房の生長が受粉によって再開すると書きましたが、子房の生長を続けさせるためには受精が必要です。ですから、子房の生長が続いているか、止まってしまったかで、受精に成功したか、失敗したかを判断することは出来ますが、子房が膨らみ始めたとか、花びらが萎れだしたとかでは判断できません。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2006-10-05
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