一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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落葉した葉が茶色になるメカニズムについて

質問者:   教員   SATA_YUKI
登録番号1105   登録日:2006-11-11
 紅葉については「質問コーナー検索」の紅葉現象を拝見させていただき、理解させていただくことができました。
 ところで、落葉した葉の色(落葉しなくても枯れた葉の色)が茶色になることは日常的に見受けられる現象なのですが、どのようなメカニズムで起きているのでしょうか?つまり、アントシアンやカロチノイドの物質により紅葉した葉がさらに落葉して葉が茶色になるのはどのようなメカニズムで起こるのでしょうか?
 自分なりに考えたのは「アントシアンやカロチノイド物質などが壊れるため」と推測しました。
 インターネットやいくつかの文献を参考にさせていただきましたが、このことに関する内容を見つけることができませんでした。もし宜しければ、教えていただけないでしょうか?よろしくお願い致します。
SATA_YUKI 様

本コーナーに質問をお寄せ下さりありがとうございました。ご質問には熊本大学で植物色素について研究されている吉玉国二郎先生がお答下さいました。ご参考にして下さい。

もみじの中で、赤色はアントシアン、黄色はカロテノイド(カロチノイド)色素によって発色しています。褐色はフロバフェンと呼ばれる酸化と重合によって生じた高分子によるものだと言われていますが、まだその正確な構造は不明です。
生理現象としては、リンゴやジャガイモを切断すると切断面がしだいに褐色になって行く現象と同様です。赤色や黄色の葉も次第に褐変化してゆきますが、これもアントシアンやカロテノイドが酸化分解して、フロバフェンになってゆくものだと思います。植物では、色々な成分が作られて行く過程(生合成)に関する研究に比べ、分解に関する研究はずっと遅れています。褐変化現象は特に農産物で品質管理の面から問題になりますので、農業関連では研究が進んでいます。                       

吉玉 国二郎(熊本大学大学院・自然科学研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤公行
回答日:2006-11-15
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