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根の呼吸について

質問者:   自営業   星の王子
登録番号1625   登録日:2008-05-22
貴協会の質問コーナーの登録番号1130の「根の呼吸について」を読ませて頂きました。内容が難しく、言い回しが難解で浅学な小生には理解し難い内容でした。そこで改めて質問させて頂きます。 質問1.「根の細胞間隙は、表皮の間隙を介して土壌間隙の空気と接している。」とありますが、この「表皮の間隙」とは幹などに存在する「皮目」と似たものなのでしょうか? 質問2.また、発生する二酸化炭素も同じ「間隙」を介して放出されるのでしょうか? 質問3.「根の細胞間隙から放出され残った二酸化炭素は通導組織を上昇して葉に運ばれ、光合成に利用される・・・」と別の本で見たことがありますが、全体の何%くらいが葉に運ばれて利用されるのでしょうか?くどい質問で申し訳ありませんが宜しくお願いします。
星の王子 さま:

いつもみんなの広場 質問コーナーをご利用いただいてありがとうございます。
「根の呼吸について」のご質問におこたえします。内容はかなり複雑な要因を定量的に取り扱う必要があるのですが、難解になりますのでここでは定性的な説明に止めます。

質問1、質問2.
根の基本的構造はお判りのことを前提としてお答えします。登録番号1130の説明は少し舌足らずではあったようです。「根の細胞間隙」といったのは「根の表皮の内側にある柔組織の細胞間隙」、「表皮の間隙」とは隣接する表皮細胞でできる「細胞壁による物質の通路」を意味したつもりでした。この場合「間隙」ということばは適当でありませんでしたね。若い根の表皮は細胞が密に並んでいますので「細胞間隙」といえるものはなく、細胞と細胞が細胞壁で接着しています。また、根毛という表皮細胞の突起がたくさんあり、水や栄養イオンを吸収しています。その上、若い根の表皮表面はクチクラの沈着も少なく細胞壁は水を通しますのでその通路となります。土壌中の水分とつながっていますし、土壌の空気間隙に根が露出していれば空気中の酸素は細胞壁を通り、その内側にある柔細胞(皮層)の細胞間隙へつながるものです。もちろん、細胞壁から直接細胞内へも水、酸素は取り込まれます。まとめると、水、酸素や二酸化炭素は、細胞質(呼吸をしている)//細胞膜//細胞壁//外界(水相あるいは気相)の間を濃度勾配に従って移動します。一方、皮目は樹木のように二次成長をして樹皮にコルク層ができるとそれを破るように出きる裂け目です。割れ目の中は細胞間隙がたくさんある柔組織が露出していますので、上の経路で酸素、二酸化炭素を吸収、排出することができます。樹木の二次成長をした古い根では酸素、二酸化炭素の出入り口となります。

質問3.
光合成速度、呼吸速度は植物種、組織、環境条件(光、温度、水分など)によって非常に大きく変わりますが、光合成による二酸化炭素の吸収量は、呼吸による二酸化炭素放出量よりも圧倒的に大きなものです。そうでないと成長はありません。自然光のもとで空気中の二酸化炭素を増加すると光合成活性も増加することが分かっていますので、気孔からの二酸化炭素供給が主要なものであることが分かります。ちなみに地上部器官の表皮細胞の表面はクチクラという脂質性の保護物質で覆われていますので水や気体を通しません。そのため気孔が気体交換に重要になります。導管液の中にも二酸化炭素は溶けていますので、理屈の上では導管液内の二酸化炭素が光合成に利用されることはあり得ますがほとんど無視できるほど小さいはずです。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2012-08-25
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