一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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赤いアサガオの色の性質について

質問者:   小学生   KAZU
登録番号2055   登録日:2009-08-18
アサガオの花の色の変化について調べています。
青いアサガオが赤(ピンク)っぽく変色する時に花の内部はアルカリ性から酸性に変化するので、赤いアサガオは酸性だと考え、家の赤いアサガオ(少し赤紫っぽい気もします)をリトマス試験紙で調べたらアルカリ性だったのですがどうしてでしょうか?
また、より赤いアサガオの場合はどうなのでしょうか?
教えてください。
よろしくお願いします。
KAZUさま

みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。お家の赤いアサガオをリトマス試験紙で調べて見たそうですが、自分で調べて見ることはとても大切なことです。自分で調べなかったら、「酸性になると赤くなる」と言う知識だけで終わってしまったところを、調べて見ておかしいなと思ったことで、「酸性になると赤くなる」ということのなかみをもっとくわしく知るきっかけがつかめました。リトマス試験紙で調べたとき、多分、赤いアサガオの花びらを絞った汁を使ったのだと思いますが、花が青いか、赤いかは絞り汁がアルカリ性か酸性かで決まっているのではないのです。少し難しいかも知れませんが、「酸性になると赤くなる」という話のなかみを述べてみます。もう習ったでしょうか、私たちヒトも含めて多くの生き物は細胞というものが集まってできています。アサガオの花びらも細胞が集まってできています。花びらの中には、アントシアニンと呼ばれてる色の素になっているものを持っている細胞と、持っていない細胞があります。言い換えると色のついているいる細胞と、ついていない細胞があるのです。色のついているのは花びらの一番外側の細胞で、中の方の細胞には色はついていません。もう一つ複雑なのは、色のついている細胞も細胞全体にアントシアニンが含まれているのではなくて、細胞の中の液胞と呼ばれている袋の中だけに含まれています。ですから花の色はアントシアニンを含んでいる細胞の液胞の中がアルカリ性か酸性かで決まっているのです。「酸性になると赤くなる」ということのなかみは、アントシアニンを含んでいる細胞の液胞が酸性になると赤くなるということなのです。花びらの絞り汁には色のついていない細胞の中身とか、色のついてる細胞の液胞以外の部分も混ざっているので、この方法では液胞の中が酸性になっているかどうかはわからないのです。液胞の中がアルカリ性か酸性かは、細い管を液胞に刺して測るのですが、「酸性になると赤くなる」というのは、そのようにして測った結果をもとにしての話なのです。アサガオの花の色についての質問は、このコーナーにも、これまでにいくつか頂いています(登録番号0113 など)。また、日本植物生理学会が関係している「花は何故咲くの?」(化学同人)という本の中にも、アサガオの花の色の変化についての説明がありますので、参考にして下さい。これからも、自分で調べて、分からないことがあったら、どしどし質問して下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2009-08-24
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