一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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根の働き

質問者:   会社員   だいふく
登録番号2386   登録日:2011-01-22
こんにちは、昔から言われている肥料の拮抗作用ですが、なぜこのような事がおこるのかメカニズムをお教えください。それと贅沢吸収とか言われるものがありますが、植物がなぜ必要以上に吸収するのか(糖のように貯蔵しているならば、そのような表現にはならないように思ったのです)もお教えください。根が伸びるには、水を求めてと言われていますが、これは水の中に溶けているイオンを求めているわけではないのですか?根の吸収の事が良くわからないのでお教えください。素人で理解できる本などがありましたら、ご紹介ください。よろしくお願いいたします。
だいふく さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
たいへん遅くなって申し訳ありませんでした。藤原 徹先生に回答をお願いいたしました。栄養分(イオン類)の吸収は特別な輸送体が根の表面にあってエネルギーを使って細胞の中に取り込んでいます。その輸送体の性質がいくつかのイオンの影響を受けているためです。根の働きは水の吸収とイオンの吸収が主なものですが、水は水チャンネルという特別なゲートが開閉することで細胞内に入りますが、水が動く方向(吸収か排出)は細胞内外の浸透圧の差が決めています。本コーナーには類似の質問が多数あります。2258、0492の外「根、水、吸収」などをキーワードとして出てくる項目を参考になさってください。



御質問ありがとうございます。肥料の拮抗作用とは、肥料の特定の成分が他の成分の吸収を妨げることを指しておられると思いますが、これが起こる理由の一つは、輸送の仕組みが共通である成分が高くなると他の成分が低くなるということがあると思います。苦土(マグネシウム)と石灰(カルシウム)の間の拮抗作用がよく知られています。贅沢吸収については、肥料成分によっても異なりますが、植物は必要な栄養があると、それを吸収して蓄えておく性質があります。リン酸などで顕著です。蓄えるほどに吸収してしまうと、吸収された栄養は成長などには使われない訳で、このような吸収を贅沢吸収と呼んでいるのだと思います。根の成長は水によっても影響を受けますが、栄養によっても影響されます。一般的には少し栄養が不足するくらいの方が根の伸びが良くなります。最近では栄養を感知するしくみや栄養に応じて根の伸びを調節するしくみがわかりつつあります。このような現象は栄養を求めて延びていると考えることもできるのかもしれません。

藤原 徹(東京大学大学院)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2011-03-25
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