一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ベジブロスにトマトのヘタはOK?

質問者:   一般   蘭丸
登録番号3031   登録日:2014-03-12
おはようございます。
トマチンについて教えていただきたいことがあります。
捨てていた野菜の皮や種、ヘタなどを煮込んでダシを取る「ベジブロス」を知り、試してみました。野菜がムダにならないし、野菜の抗酸化成分も溶け出すということで、これはいいなと思ったのですが、『トマトのヘタ』は使ってもいいものか迷いました。トマトの茎や葉には毒素であるトマチンが多く含まれていると聞くので、当然ヘタにも含まれているはず。トマトのヘタを煮込めば、こうしたトマチンも溶け出すと思うのですが、少量ならばベジブロスに使っても大丈夫なものでしょうか?
蘭丸さま
 みんなのひろばへのご質問有り難うございました。トマチンについては登録番号0803に載っています。その時の回答にはヘタのトマチンについては触れていませんでした。そこで再び、かずさDNA研究所の柴田大輔先生に回答を頂きました。


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 トマトは、熟した果実以外は食べないほうがいいです。多くの方がご存知のように、トマトには α-トマチンという毒素が含まれています。
 お問い合わせのあったトマトのヘタですが、熟したトマト果実よりも700倍ぐ らいの α-トマチンが含まれています。この α-トマチンの含量は、花、葉、茎などと同程度です。ただし、果実に比べてヘタの重量はかなり少ないので、果実と一緒に煮込んでブロスなどにすると薄まってしまいますので、少しぐらいヘタが入ったとしてもさほど問題にはならないと思いますが、ヘタはなるべく除去することが基本です。
 また、α-トマチンは加熱してもさほど分解しませんので、煮込んでも減らないと考えておいたほうがいいです。
 ちなみに、未熟なトマトを使って漬け物を作ったりしますが、未熟なトマトは50倍以上の α-トマチンを含みますので、たくさん摂取しないほうがいいでしょう。ただし、Green Zebra(グリーンゼブラ)という品種では、熟しても緑が残るのですが、α-トマチンの含量は、赤や黄色の他の品種と同程 度なので、熟してさえいれば、「緑の漬け物」を作っても大丈夫です。

ここで述べたα-トマチンの量については、以下の文献を参考にしました:
M. Friedmn, C. E. Levin J.gric. Food Chem. 43; 1507-1511 (1995) "α-Tomchinw Content in Tomto nd Tomto Products Determined by HPLC with Pulse moperometric Detection"

柴田 大輔(かずさDNA研究所)
JSPPサイエンス・アドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2014-03-28
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