一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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白菜の結球について

質問者:   一般   阿部 靖
登録番号3414   登録日:2016-01-03
キャベツの場合、光合成はオーキシンの作用でロゼッタ葉が形成され、そこでで行われ、ある時期になるとオーキシンが葉の外側に作用し結球し、ロゼット葉で作られた養分で結球の葉が形成されるとのことですが、白菜は同じように結球しても寒さにより結級が開いてしまいます。白菜の結級の仕方と葉の開く作用を教えてください。
阿部 靖さま

みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。登録番号1517に関連した質問とそれに対する回答がありますので、それを参考に回答を作って見ました。キャベツやレタスの食用にしている部分を葉球と呼んでいます。お店で売っているキャベツやレタスの葉はすべて球状に巻かれていますが、畑にあるものでは球状に巻かれた葉の外側に巻かれていない葉が広がってます。巻かれている葉を貯蔵葉、巻かれてなくて広がっている葉を同化葉と呼んでいますが、同化葉を全て取り除くと、貯蔵葉の巻きがほぐれ同化葉の位置に広がり、同化葉の役割を果たすようになります。しかし同化葉を取り除いても葉球部分を紙で囲い、葉に当たる光を低い状態に保てば、葉球はそのままの形を保ちます。このようなことから、葉球の形成は葉の数が増え、内側の葉に当たる光が遮られ弱くなることによって葉の外側が内側より多く伸びるために起きる下偏生長と考えられています。ハクサイの場合も結球は葉の下偏生長によると思われますが、ハクサイの場合には葉の屈地性運動も関係しています。ハクサイの葉が屈地性を示すことは、買って来たハクサイを縦切りにして切り口を上にしておくと葉が立ち上がって来ることで分かります。ハクサイの葉では葉のオーキシン含量が高い品種では葉が立ち上がって来るのが遅れることが知られています。温度については、結球期には15~16℃が最適で、10℃になると発育が停止し花芽分化を起こすと書いてありましたが、低温で葉が開く機構は見つかりませんでした(新編蔬菜園芸学各論・養賢堂・1993)。登録番号1517に文献が沢山載っていますので、参考にして下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2016-01-03
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