一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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絞りのバラの花びら

質問者:   会社員   Ittoku
登録番号3592   登録日:2016-09-01
絞り(斑入り?)のバラの花びらついて知りたいです。
葉の斑入りは葉緑素が関係しているような気がしますが、花びらに斑が入るときは何が影響しているのでしょうか?
また、どのように色素にあたるものが広がったり偏ったりするのでしょうか?
花びらの斑が育っていくうちになくなっていくことがありましたので、その原因を知りたくて質問しました。
土は赤玉土に腐葉土を混ぜたものを使っていて、肥料は一般的なNPK555のような化成肥料を使っています。
よろしくお願いします。
Ittoku 様

ご質問ありがとうございます。花弁に見られる斑入りは一般に、トランスポゾンという遺伝子が染色体上を動き回ることが原因です。バラの花弁の色はアントシアニンと総称される色素(シアニンジンとベラルゴニジン)の量と比率によって決まります。
これらの色素は花弁のそれぞれの細胞で作られて、隣の細胞に移って広がることはありません。そして、花弁の斑入りは、花弁が発達する途中で、トランスポゾンが動くことで色素を合成する遺伝子のどれかを不活性化したり活性化することで起こります。「花びらの斑が育っていくうちになくなっていくことがある」というのは、若いバラの木の花では斑入りが多く、歳をとると斑入りがなくなると言うことでしたら、トランスポゾンがによる色素合成遺伝子の不活性化が徐々に広がったと言うことだろうと思います。トランスポゾンによる花弁の斑入りについては、当コーナーにも関連する質問と回答が掲載されていますので、検索してみてください。なお、当コーナー登録番号0235によりますと、葉の斑入りは確かに葉緑素を作らない細胞が生じることによりますが、トランスポゾンが原因となる報告は少ないとのことです。
JSPP広報委員長
出村 拓
回答日:2017-03-09
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