一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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葉っぱや枝の治癒

質問者:   その他   月橘
登録番号3718   登録日:2017-03-30
葉っぱや枝が途中で千切れたり裂けたりした場合
それぞれどのようなメカニズムで傷口が塞がるのでしょうか
月橘さま

 みんなのひろばへのご質問有り難うございました。傷は治さなければなりません。葉の蒸散作用により水を失って生じたマイナスの圧で水を上昇させているので、傷口が開いたまだとマイナスの圧が消失し、水が吸い上げられなくなります。また、傷口が開いたままだと、体内に病原菌が侵入します。

 まず、細胞壁の修復です。スベリンで水を通し難くし、リグニンで丈夫にします。ポリフェノールの生産を上げ病原菌の侵入を防ぎます。上記の様な出来事と傷つけられたことをつなげているのは、植物ホルモンです。傷つけられたことによりジャスモン酸や、エチレンやアブシジン酸の生産が高まることと、これらのホルモンが傷害誘導性遺伝子の発現を誘導することが知られています。葉の場合、生産されたエチレンにより離層の形成が促進され、落葉に至ることもあります。登録番号2230に「アカシアの葉が食べられたことによる傷害でエチレンが発生し、食べられた木の廻りのアカシアの木がタンニンを合成し食べられなくする」という話があります。エチレンは気体ですので、周りの木にも影響が及ぶのです。茎が先端を失った場合,切り口を塞ぐだけでなく、残った茎の上部にある腋芽が伸び、新しい頂芽になります。

 なお、本学会編集の「これでナットク!植物の謎」(講談社)の173ページに関連Q&Aが載っていますので、参考にして下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2017-04-01
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