一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ハツカダイコンの根の接触屈性にエチレンがもたらす影響について

質問者:   高校生   Dokster
登録番号3743   登録日:2017-04-29
こんにちは。

現在私たちは、ハツカダイコンの根を用いて接触屈性とエチレンとの関係性について研究をしています。
http://www.life.tsukuba.ac.jp/event/shokubutsunohi2016_abstract_meikeigakuen_Seibutsuhan.pdf

研究活動をするにあたり、2007年12月13日の日本植物生理学会で発表された、田中重雄先生の「シロイヌナズナの根の接触屈性はエチレンで調節されている」という抄録を読ませていただき、根の接触屈性にエチレンが関与しているということを知りました。しかし、別の文献により、エチレンの作用は植物の種類によって異なるということも知りました。

そこで質問なのですが、ハツカダイコンの接触屈性にエチレンがもたらす影響も、シロイヌナズナと同様に、エチレンを合成すると曲がりやすくなると考えてよろしいのでしょうか。

お忙しい中申し訳ありませんが、ご解答いただけると幸いです。
Dokster 様

ご質問をありがとうございます。
 植物の接触刺激に対する地上部の応答については多くの研究がなされており、その応答におけるエチレンの作用について、[みんなのひろば植物Q&A]登録番号3672, 3674でも解説されています。それに対して根の接触屈性についての研究はそう多くはありません。論文検索サイトで ”thigmotropism, root"で検索すると14の論文が、”thigmotropism, root, ethylene"では1編の論文のみが検索されてきました。これらの論文の実験材料はほとんどがシロイヌナズナで、ハツカダイコンを用いたものは見つかりませんでした。
 そこで質問に対する回答ですが、正直のところ「わかりません」です。質問が研究テーマそのものだと思いますので、たとえ回答がわかったとしても、回答を聞いてしまっては研究は面白くないのではないでしょうか?まだハツカダイコンでは調べられていない(少なくとも論文になっていない)ようですので、どうしたら回答が得られるか、文献を調べたり、考えたり、いろいろ実験方法を工夫したりして、楽しみながら実験を進めて欲しいと思っています。研究成果を期待しております。
 質問中にも書かれていたように、シロイヌナズナの根の伸長成長はエチレンで阻害されますが、他の植物では、必ずしも伸長成長が阻害されるとは限りません。そこが一つの問題ですね。
 なお、質問で「エチレンを合成すると曲がりやすくなる」とありますが、ネットで「田中重雄、東京農大」で検索すると解説が載っており、そこではエチレンが増えると根を硬くし、エチレンが減ると軟らかく曲がりやすくなると書かれています。
チェックしてみて下さい
JSPPサイエンスアドバイザー
庄野 邦彦
回答日:2017-05-06
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