一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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水耕栽培における菌の繁殖に関して

質問者:   大学生   ナオ
登録番号3775   登録日:2017-05-29
突然の質問失礼いたします。名城大学のナオと申します。水耕栽培に興味があり質問させていただきました。

水耕栽培は初心者用の栽培方法として広く使われ、また、植物工場のような大規模栽培でも土壌を管理する必要がないという利点から取いれられています。しかし、水耕栽培では菌(大腸菌やその他の雑菌)が繁殖しやすいそうです。

なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?

お手数をお掛けしますが、ご返答よろしくお願いいたします。
ナオ さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
培養液の管理をきちんとすれば、「水耕栽培で菌(大腸菌やその他の雑菌)が繁殖しやすい」と言うことはないはずです。光合成植物の水耕栽培に使用する培養液には有機物は必要ありません。一方、細菌の増殖には有機物が必要です。したがって、本格的な水耕栽培では培養液の組成を常時管理し、常に循環させていますので無菌操作をしなくても細菌の繁殖は大きな問題にはなりません。ただし、何らかの原因で対象作物の病原菌が混入した場合は別問題です。一般家庭や個人レベルで水耕栽培する場合にも、常時とは言わず定期的に培養液を交換、培養液への空気補給をすれば大きな問題は起こらないはずです。問題は培養液の管理、交換を行わなかった場合です。植物の根からは微量ながら有機物(糖類、アミノ酸やタンパク質など)が分泌されておりこれらがある程度蓄積すると細菌の繁殖が始まり、培養液の組成、pH、 酸素濃度などが変化して栽培が上手くいかなくなる可能性が高くなります。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2017-05-31
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