一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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朝顔の花の色と葉の形が変化したのは遺伝子の変異ですか?

質問者:   一般   しず
登録番号3905   登録日:2017-09-18
 市販の朝顔の種を植えました。濃いピンク色で7cmくらいの花をつけました。グリーンカーテンとして育てています。
 ところが、ここ1か月くらいで、太い茶色がかった蔓の脇目が出てきて手の平大の大きな葉をつけるようになりました。そして朝顔の蕾となる芽ではなく、燭台のような(昼顔の蕾と似ているかもしれません)ものがでてきて、それが硬く長い蕾になりました。咲いた花は一回り大きく9cmほど。色は薄青色です。
 今はその2種類の花が共存しています。しかも薄青色のは朝は半開きで日中咲き、夕方までしぼみません。濃いピンク色の方は朝だけで夫婦咲きもみられます。肥料はハイポネックス6-10-5を週一回与えています。
 きれいですが、不思議なので教えてください。
しず様
 みんなのひろばの植物Q&Aをご利用下さりありがとうございます。
 回答はアサガオの花色の分子遺伝学を研究をされている星野 敦先生にお願い致しました。

【星野先生の回答】
しずさま
ご質問ありがとうございます。写真(https://jspp.org/media/images/hiroba/qa/3905-1.jpg )を拝見したところ、ピンクと薄青色では生き物の種類(種)が違うことが分かりました。ピンクはアサガオ(学名:Ipomoea nil)ですが、薄青色はソライロアサガオ(西洋アサガオ、学名:Ipomoea tricolor)です。
ソライロアサガオは、ヘブンリーブルーという品種名で市販されています。アサガオの種は丸く、ソライロアサガオは長細いかたちをしていますので、簡単に区別が付きます。種を蒔かれたときに気付かれなかったとすると、どこからか紛れ込んできたと推察いたします。ヘブンリーブルーには遅咲きの系統があり、9月に花のピークを迎えます。このため、最初はピンクのアサガオだけ咲いていたところに、薄青色はソライロアサガオが混じるようになったのかも知れません。あるいは単純に、ソライロアサガオの発芽が遅かっただけの可能性もあります。
ソライロアサガオはアサガオに比べて花持ちが良く、夕方まで咲いていることもあります。とくに気温が低くなるこれからの時期は翌朝まで咲いていることもあり、そのような花はピンク色になります。ですので、一つの株に青とピンクの花が咲くことになります。この色が変わる仕組みには、花弁細胞の酸性度(pH)が関係していて、登録番号0113に詳しいです。ご参考までに。

 星野 敦(基礎生物学研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
庄野 邦彦
回答日:2017-09-25
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