一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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乾燥地帯の木本の共通点

質問者:   自営業   クー
登録番号4063   登録日:2018-04-09
DracaenaやAloidendron等の単子葉類の木は天辺の同じ高さに揃えて葉を付ける形になっていて通常木の様に幹の途中から枝や葉を出しません
またバオバブやDendrosicyos等の乾燥地帯の木やジャイアントセネキオの様な大型化する多肉植物も似たような葉の付け方をします
これらは所謂収斂進化と言う物でしょうか?
どの様な経緯でこの様な進化をしたのか、またこの形態のメリット、デメリットを教えてください
クー様

みんなのひろば植物Q&Aにご質問をお寄せいただきありがとうございます。 回答は植物の生理生態学がご専門の舘野正樹先生にお願い致しました。

【舘野先生のご回答】
 湿潤な気候に分布している木本は枝分かれが多く、多くの葉がついています。 一方、乾燥地帯に分布する木本は枝分かれが少なく、その大きさの割に葉が少ないことに気がつきます。ここでは、その点に絞って考えてみることにしましょう。

 日本のような湿潤な気候の場合、植物は容易に水を吸収することができます。根を深くまで伸ばす必要はなく、ほとんどの植物では、根の深さは50cm以内です。これはどんな大木でも同じですね。それで十分な水を吸収できるのです。ここでは水の制約なしに葉を展開することができます。枝分かれして多くの葉をつけても水に関してはトラブルが起きないというわけです。

 一方の乾燥地帯ですが、ここで水を得ることは非常に困難です。地表面近くはからからに乾燥しているため、木本は深さ10mにもなる根を作ることがあります。それでも十分に水を得ることは難しく、葉を多くつけてしまうと、葉からの水の蒸散をまかなえなくなってしまいます。そのため、どうしても体のサイズの割に葉の量が少ないという形態が進化したのだと考えることができますね。

 また、葉からの水の蒸散を抑えるためには、葉の重さあたりの表面積を小さくすることも有効です。それが多肉という形態です。バオバブはそれほど多肉というわけではないようですが、バオバブは乾期に落葉するものが多いので、それでも大丈夫なのでしょう。

舘野 正樹(東京大学大学院理学系研究科日光植物園)
JSPPサイエンスアドバイザー
庄野 邦彦
回答日:2018-04-10
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