一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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茎を根元から切り取った場合の光合成について

質問者:   教員   ちーこ
登録番号4105   登録日:2018-05-17
より子供たちが納得して、授業時間内にできるようにと予備実験をしているところです。
土の上の部分を切り取って、バケツの水につけて理科室に運びました。アルミホイルを葉の一部につけて準備をしました。よく晴れた日だったので、30分ほど屋上において、たたき染め法でヨウ素でんぷん反応を見ました。残念ながら、反応は見られませんでした。
時間が足りないだけの原因でしょうか。
茎を切ってしまったせいで光合成が進まないのでしょうか。さらに一日たってもあまりほんの少ししかでんぷんは作られておらず、子供たちは納得しないだろうという結果でした。
枝を切ってしまうと光合成への影響はどのようなものでしょうか。また、光合成させるには、ジャガイモでは晴れた天気でどのくらいの時間は最低必要でしょうか。
お教えください。

ちーこ 様

このコーナーをご利用くださりありがとうございます。

授業に備えての予備実験とのこと、生長中の生きの良いジャガイモの葉を使われているのでしたら、日照時間の不足が主な原因だったものと思います。デンプンの蓄積は光合成産物が徐々に貯まって行った結果ですので、検出する方法の感度にもよりますが、日中の強い光を数時間以上与えた後にヨウ素反応で確かめて見られるのが良いと思います。地上部を切りとってバケツの水に浸した状態でも葉での光合成は進行していますが、その状態では水温が上昇したり、水あげが不十分で植物体が萎れたりするのではないかと心配します。その状態は明らかに植物にとってはストレスですので、合成分解のバランスの上で成り立っている産物の蓄積が検出され難くなることが懸念されます。ジャガイモはこの実験に適した植物ですので、土の上で安定に育っている植物体を用いてデンプンの蓄積が明瞭に示されることに確信を持たれた上で、いろいろな工夫をして見られることをお勧めします(検出方法の改善を含めて)。



佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-05-19
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