一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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植物の蒸散で色水の色はなぜ残るのか

質問者:   中学生   山村
登録番号4179   登録日:2018-08-01
 今、夏休みの自由研究のテーマを考えています。授業で色水に植物をつけると蒸散で水は水蒸気になると学びました。この時、色水が蒸発したら色のついた水蒸気になるから集めてみようかと考えました。
 けれど、色水の色は植物に残って、水だけが蒸発する、と書いてあるサイトを見つけました。
 どうして、色と水はわかれて、色は植物に残るのですか?
教えてください。よろしくお願いします。
山村 様

みんなのひろばの植物Q&Aをご利用下さりありがとうございます。
食塩を水に溶かすと食塩水ができます。食塩水を器にとって室内に置いておくか、熱をかけるかすると、水は蒸発して空気中に広がっていきますが、食塩は気体になりにくいのでそのまま器に残ります。このように物質によって気体になり易さに差があります。
色のある物質(色素)を水に溶かしたものが色水です。色水というのは色水という物質ではありません。厳密な言い方ではありませんが、色素が水と均一に混じりあった状態と思って下さい。色水をつくるのにはよく市販の食紅がつかわれますね。食紅は粉末で,置いておいても気体になって蒸発はしません。食塩と同様に気体になりにくいので、食紅を水に溶かした色水は、器にとって置いておくと水が蒸発し、あとには色素が器に残るでしょう。同様に植物に吸わせた色水の水が蒸散で気体になって空気中に広がっていった時、色素は植物体に残ろことになるでしょう。  
                                      
また、色水を作るのに用いた色素が、植物の細胞を構成している物質に吸着したり結合したりする性質がある場合も、水は気体になって出ていきますが、色素が植物体に残る原因の一つになるでしょう。

色水を与えた植物から出てきた水蒸気を集めて、色がついているかどうか確かめる計画をたてたそうでね。実際にどうなるか確かめることは大切です。水蒸気を集める方法には工夫が必要ですね。また、液体のまま葉から水が沁み出すこともありますから、それが混じらないような注意も必要です。



庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2018-08-06
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