一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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竹が開花したが枯れていないです

質問者:   一般   ささやん
登録番号4338   登録日:2019-01-18
昨年7月初ハチクかマダケかわかりませんが竹林全体が茶色になり、竹の開花は珍しいと聞いていたので
竹を一部切って持ち帰り、マクロレンズで撮影したところ確かに雄蕊のようなものが出ていました。
ただ切ったのが早かったのか種までは確認出来ませんでした。
竹林全体が枯れるものと思っていたのですが10月ごろになり枯れたように見えた枝から新しい葉が
出ており、竹は開花するとすべて枯れると思っていたのでこれまで聞いていたことが違うのではと
思って投稿しました。竹は開花しても枯れるというのは種類によるのかもしくは例外的にこんなことも
あるのでしょうか。写真も撮っていますのでもし必要なら送ります。


ささやん様

みんなのひろば植物Q&Aのコーナーをご利用下さりありがとうございます。
回答は、長年にわたり竹の生理生態学的研究をされており、竹についてご造詣の深い小林幹夫先生にお願い致しました。

【小林先生の回答】
 ご質問の状況から、マダケ属ハチクの開花だと推察いたしました。数年前から西日本から関東地方にかけ、所々でハチクの部分開花が報告されています。
 マダケ属では種ごとに開花習性の違いがあります。日本の本州以南で広く栽培もしくは野生化している3大有用竹として知られるのは、マダケ、ハチク、そしてモウソウチクです。マダケでは、極めて一斉開花性が強く、広大な藪全体が一斉に開花しますが、結実はしません。そして、枯れるのは地上部だけで、地下の地下茎は生存を続けます。地上部は一斉に枯れて1~2年のうちに消滅し、その後、細いひこばえが一斉に出現し、数年後には通常の太さの稈(かん:タケやササ、イネやムギなど、節と節間という分節構造の明確な茎のことを特別に稈(かん)と呼びなしています。)からなる元の竹藪に再生します。
 モウソウチクでは、竹藪全体が一斉開花する場合と、ごく少数の稈だけが部分的に開花する部分開花の二通りが知られ、いずれの場合でも、極めて結実率が高く、開花した稈や一斉開花個体群全体が結実後、枯死します。竹林の再生は、実生で行われます。そして、これまでに知られた一斉開花周期は一般的に、67年であることが知られています。すなわち、開花結実した穎果(たね)が発芽し、次の一斉開花までに要する時間が67年である、ということが二か所の異なったクローンにおいて実証的に確かめられています。
 ハチクの場合では、詳しいことはよく判っておりません。部分開花した稈は枯死する場合もありますが、枯れたように見えた稈から枝葉が再生する場合(今回のご質問に近い状態)も、しばしば知られています。また、結実しない場合の方が多いようです。


小林 幹夫(宇都宮大学名誉教授・小林竹類研究房)
JSPPサイエンスアドバイザー
庄野 邦彦
回答日:2019-01-25
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