一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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光と気孔の反応速度

質問者:   高校生   気孔について知りたい!
登録番号4344   登録日:2019-01-23
まずは質問に答えていただきありがとうございます。
私は学校で光の強度(light intensity: lx) と気孔の反応について研究しています。
乾燥地域に生存する植物以外のほとんどは、光に反応して気孔を開くと知りました。そこで私は、光の強度(lx)と気孔の開閉について調べてみようと考えました。
異なる強度の光にさらされた植物からサンプルを取り、それぞれデータを取りたいと考えています。
そこでなのですが、何分ほど植物に光を当たれば、気孔の反応は完了しますか?
例えば、1000 lx の光を何分間ほど植物に照射し続ければ、植物は1000 lx に対応した気孔の反応を示すのでしょうか?

ちなみに、気孔のサイズが大きく、気孔の開閉を観察しやすい植物がありましたら、そちらも教えていただけると嬉しいです。

質問がわかりにくく申し訳ありません。
お答えをいただければ幸いです。
よろしくお願いします。
気孔について知りたい! 様

このコーナーをご利用くださりありがとうございます。
ご質問には島崎研一郎先生(九州大学))から次のようなアドバイスと回答をいただきましたので参考になさってください。アドバイスの点については私も同感です。気孔の開口に必要な光の強度や波長については実験で確かめられることをおすすめします。

【島崎先生からのアドバイスと回答】
御答えする前に少し気になる事があります。それは、始めに「私は学校で光の強度と気孔の反応について研究しています」と書かれていることです。そして、ご質問は「何分ほど光を当てれば気孔の反応が完了しますか?」とあります。この質問自体があなたの研究対象の一部ではないでしょうか?私の先生なら、きっとこう言われたでしょう・・・「自分で調べたら」。あなたの研究を邪魔するおそれもありますが、一応、御答えします。

気孔が光によって開く速度は植物の種類によって異なります。例えば、トウモロコシは早く、ソラマメでは遅いです。また、光による気孔開口の早さは、生葉では速く、私たちが実験に多く用いる剥離表皮では遅くなります。また、剥離の仕方によっても気孔の応答速度は変わります。昼間、特に午前中は開きやすく、夕方は開きにくくなります。

今回の実験では剥離表皮を用いて気孔開口を顕微鏡で見られるのだと思います。通常、植物の表皮に光を照射すると、2−3時間で気孔開口はほぼ一定になります。従って、3時間光を照射すれば大丈夫でしょう。生葉を用いる場合は2時間で良いでしょう。植物材料としてはツユクサやマルバツユクサをおすすめします。これらの植物は気孔が大きく、表皮がはぎ易く、測定が容易です。ツユクサは夏のみ使用可能ですが、マルバツユクサはほぼ年中大丈夫です。ただ、マルバツユクサは亜熱帯性の植物ですので、九州では野生で見られますが寒冷地では生育してないかもしれません。マルバツユクサは茎があれば、それから増やすことが出来ますので、なんとか手に入れて下さい。



島崎 研一郎(九州大学名誉教授)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2019-01-28
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