一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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葉が内側に巻く理由

質問者:   その他   長坂文子
登録番号0443   登録日:2005-12-12
私は、現在ハクサンシャクナゲがどうして、内側に巻くのかと言うことについて調べております。

これまでの結果から、光・水・気温の中でもっとも影響力があると考えられるのが、水であり、PーVカーブを描き葉の幅の変化と比べると調度、膨圧を失うあたりで丸まると言うことが分かってきました。

しかし、なぜ内側に巻くのか構造上なにか特別なものがあるのでしょうか?
本で調べたところ、細胞間隙が内側には多いためとありました。
もちろん、表皮より裏の方が細胞間隙は多いのですが、よく丸まる明所とあまり丸まらない暗所に差はなく、また丸まったときの細胞と丸まっていないときの細胞にも差は見られませんでした。

物理学的な方から見た方が良いと言われたのですが、どの先生に伺ったらよいのか分からず、質問させていただきました。よろしくお願いいたします。
長坂文子さま

 みんなの広場へのご質問ありがとうございました。担当の柴岡です。ハクサンシャクナゲの葉が巻く現象を扱った論文を読んだことがないので、期待しておられるような回答を用意することはできませんが、ご質問の中に書かれている実験結果をもとに、巻く理由を想像することくらいならできそうなので、そんな想像を書いて見ます。ナスの皮をすこし厚めにむいて、真水に浸しますと、皮を背にして反り返りますが、濃い塩水に浸すと、背を丸めるように曲ります。これは表皮の細胞の細胞壁は丈夫なので、水の出入りによってあまり細胞体積を変えないのに対し、内側の組織の細胞の細胞壁は丈夫でないので、水の出入りによって細胞体積を大きく変えるからです。ハクサンシャクナゲの葉が膨圧を失うあたりで丸まるのも、これに似た現象ではないでしょうか。葉の裏側(背軸側)の表皮の細胞の細胞壁はあまり丈夫でないので、細胞が水を失うと細胞体積を大幅に現象させるのに対し、表側(向軸側)の表皮の細胞壁は丈夫なので、水を失っても、細胞体積を変えないので内側に巻くように思います。葉の切片を作り、いろいろな濃度のマニト-ル溶液に浸し、表側の表皮の細胞、裏側の表皮の細胞の細胞体積がどう変わるかを調べることによって、この考えが正しいかどうかを確かめることができると思います。ご期待通りの回答でなくてゴメンナサイ。
JSPPサイエンスアドバイザー
 柴岡 弘郎
回答日:2005-12-16
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