一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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菜花の死花について

質問者:   一般   小学生 ショウ
登録番号4843   登録日:2020-08-18
なぜ暖冬の年は、死花が多いのですか?
暖冬に死花が多いと知ったのは、地域で行われる栽培講習会で知りました。
死花は蕾が黄色く老化してしまう状態のことを指すようです。商品として扱うことが難しいと聞きました。
説明では、暖冬で肥料が効きすぎているから、と聞いたのですが、色々と調べていると原因は分からないという結論に至ってしまいました。
少しでも原因が分かればと思い質問させて頂きました。
小学生 ショウ様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。残念ながら、ご質問は菜花という特定の野菜の栽培上の問題で、本来なら園芸関係の病理学の分野の事柄ですので、植物生理学/植物学の観点から専門的な回答をすることはできません。しかし、一応調べていましたので、見解を申し上げます。

ご質問で述べられている「死花」というのはおそらく、「花腐れ病」の現象のことだと思います。この病気は菜花だけでなくいろいろな植物(果樹も)で知られている病気です。菜花の場合の発症の特徴は「花の蕾の時に発生し、小花が淡黄色から褐色へと変色します。最終的には病気にかかった小花は黒くなり腐ってしまいます。発生は冬季(11〜12月上旬が多い)。雨が多かったり、窒素過多やホウ素欠乏の時起こりやすい。気温が20℃位が一番繁殖しやすい。」ということですので、ご質問に書かれた特徴と合致すると思います。
花腐病の病原菌はシュードモナス(Pseudomonas)とい細菌の仲間ですが、菜花の場合は2種類のシュードモナス属の細菌が関係しており、この2種による「ナバナ花腐病原菌病」として報告されています。研究論文は「Pseudomonas spp.によるナバナ花腐細菌病(新称)、日本植物病理学会報、第65巻、第3号、1999年」にありますが、概要はネットで次の項目を検索していたたければ簡単に読めます。
食用ナバナ「花腐れ病」の原因究明と抵抗性品種を利用した防除 <http://www.pref.chiba.lg.jp/ninaite/shikenkenkyuu/documents/35_9.pdf>
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-09-06
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