一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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表皮細胞

質問者:   中学生   Pavel
登録番号0488   登録日:2006-01-26
初めまして。Pavelと申します。

早速ですが、ついこの間ホウレンソウの葉と、ムラサキツユクサの葉の表皮細胞を観察しました(酢酸カーミン溶液をかけている)。
そこで双方の気孔を観察したのですが、その構造と働きがよく分かりません。
ホウレンソウの葉の気孔が目のような形をしているのは知っていますが、ムラサキツユクサの気孔がどのような形をしているのか分かりません。
それと、ムラサキツユクサの気孔とホウレンソウの気孔の違いを教えてください。

お願いします。
Pavel さん

 葉の気孔の観察についてのご質問ですが、気孔がどのようなメカニズムで開いたり、閉じたりし、二酸化炭素や水(水蒸気)の葉の細胞への出入りをコントロールしているかについて詳しく研究しておられる九州大学・理学研究院・生物科学部門の島崎研一郎教授から、次のよう な回答を頂きました。これを参考にしてうまく観察ができるよう祈っています。


 まず、葉の気孔の形を観察するには、気孔が主に存在している(葉の裏側の)表皮を剥ぎ取ってみるとよく分かります。初夏には青色の花をつけたツユクサがあちこち見られるようになりますから、その表皮を剥ぎ取って観察してみて下さい。葉のままで見ようとすると、正確な観察は難しいです。酢酸カーミン溶液は 気孔の観察には特に必要ではありません。剥ぎ取った表皮を少量の水に浮かべ、それにカバーグラスをかけて顕微鏡でのぞいて下さい。400倍の倍率が望ましいですが、それより低い倍率でも見えるはずです。
気孔は一対の孔辺細胞という細胞から成り立っており、この細胞が隣接して、その 境目がいわゆる開閉を行うあな(孔)を構成しています。孔辺細胞は、それぞれ半月形、あるいは、腎臓型 をしており、半月の片面(直線部分)を互いに接していると想像して下さい。この直線部分が、細胞がわに凹み、気孔が開く事になります。
ホウレンソウもムラサキツユクサも気孔の形は基本的には同じ部類に属します。大きな違いはないと思います。ただ、ツユクサでは孔辺細胞の側面と上面に副細胞と言う細胞がありますが、これが特有な形をしています。それで、気孔全体として見た時、この2つの種類で随分と違うように見えるかも知れません。また、孔辺細胞はソラマメ、ツユクサでは腎臓型ですが、トウモロコシでは亜鈴型をしています。
気孔は光があたると開き、暗くなると閉じます。気孔が開くと、外気から二酸化炭素(炭酸ガス)が取り込まれ、光合成による二酸化炭素の固定に使われます。気孔が開いてないと二酸化炭素が取り込まれないため、植物は光合成が行えないことになります。気孔はこの二酸化炭素などの通り道として働いています。

 島崎 研一郎(九州大学・理学研究院)  
JSPPサイエンスアドバイザー
 浅田 浩二
回答日:2006-02-08
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