一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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NDVIとクロロフィル濃度との関係

質問者:   会社員   会社員
登録番号4945   登録日:2020-12-22
NDVI(正規化植生指数)は陸上植物のクロロフィル濃度と相関関係があるとされています。NDVIと相関のあるクロロフィル濃度の単位に関する質問です。生葉重量当たりの量では含水率が影響するため、乾燥した葉の重量あるいは葉の単位面積当たりのクロロフィル量として計算した方がよろしいのでしょうか?
会社員 様

このQ&Aコーナーをご利用いただきありがとうございます。
少し長くなりますが、先ずは基礎知識の整理から始めさせていただきます。NDVI(Normalized Difference Vegetation Index、正規化差植生指数)は、波長選択的に測定した反射率(比率)を基にして計算される指数で、次の式で定義されています。なお、この式において、NIRは近赤外光域での反射率、REDは赤色光域での反射率を意味しています。この式は正規化される形になっているのでNAVD値は1から-1の間で変化することになります。

NDVI=(NIR-RED)/(NIR+RED)

ところで、クロロフィルなどの光合成色素が存在する場合には、赤色光域での吸収率が増加することに因って反射率(RED値)が低下するため、NDVI値は増加することになります。すなわち、方向性としてはクロロフィル濃度が増加するとNDVI値が増加することになるので、測定されるNDVI値からクロロフィル量を推定することが考えられます。しかし、例えばクロロフィルの分子吸光係数のようなものを用いて、NDVIの数値からクロロフィルの濃度を直接計算することは出来ませんので、適当な補正項を導入したり、クロロフィルの実測値に基ずく較正を行ったりすることが必要になって来ます(NDVI値とクロロフィル濃度の間には、吸光度の場合のような正比例の関係が成り立つ訳ではないので、関係は限定的なものになります)。

さて、ご質問の単位としては、観測する面積当たりのクロロフィルの重量、または、(海洋などの場合)体積当たりのクロロフィルの重量(濃度)として関連付けるのが適当ではないかと思います。
佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2020-12-25
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