一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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植物に口はあるのか?

質問者:   中学生   一輝
登録番号5068   登録日:2021-05-11
植物の口と調べたら気孔が出てきてそれは口なのか先生に聞いても「どうだろうな?」と言って答えてくれませんでした。なので疑問に思い質問しました。
一輝 君

この質問コーナーをご利用くださりありがとう。

まず、「口(英語で、mouth)」とは何かについて調べると、専門の事典(生物学辞典)では「動物体における食物のとり入れ場所、すなわち消化管の入口」となっていました。次に、「食物」について調べると、その辞典には何も書いてありませんでした。そこで、国語辞典(広辞苑)で調べると「生物が生きるために日常とり入れて、身体の栄養を保つもの(一部書き変え)」と書かれてありました。なお、ヒトなどの口には唇・歯・舌などの武器のようなものが備わっていて、食物のとり入れを助けるとともに、口は全体としては音声を発することに役立っていますね。

植物も、動物と同じように、外部から物質やエネルギー(仕事をする能力)をとり入れ、生長したり生命を維持しているので、それらの「とり入れ口」がどこかにあるはずですよね。実際には、動物と植物ではとり入れるものが根本的に違っているので、とり入れ口も大きく違っています。例えばヒトの場合、食物としてとり入れられるのは植物や動物の身体かその加工物で(水分を除く)、とり入れる場所はふつうは「口」に限られています。一方、植物の場合には、①葉っぱ全体に分布する葉緑素(クロロフィル)などの色素が吸収することで体内にとり入れられる「光」、②根の細胞によって水と一緒にとり入れられる「肥料の成分(無機化合物)」、③条件により開閉する細胞のすき間である気孔からとり入れられる大気中の「二酸化炭素(炭酸ガス)」が食物に当たることになります。このように事情が大きく違うため、一般には、植物には口がないとされています。
佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-05-16
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