一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

リトープスにおける各種栄養素の要求量

質問者:   一般   bon
登録番号5087   登録日:2021-05-22
リトープスは耐塩性植物または塩生植物なのでしょうか?
そしてそれに伴い、無機塩類の要求量が高い植物のでしょうか?

趣味でサボテンや多肉植物を栽培しています。
これらを育てていると、ふいに葉焼けや腐敗を生じることがありますが、とりわけリトープスをはじめハマミズナ科の種類で発生率が高いように感じます。ネット上でも「気をつけて育てていたのに突然枯れてしまった」といった報告をされている熟練の愛好家の方々を見かけます。
「リトープスは降雨が極少ない砂漠のような場所で自生しているから、湿気や細菌感染に弱い。肥料も極少量で良い」とのことで、私もそれに倣って十分に環境を整えているつもりですが、それでも枯れることがあります。一方で、うっかり雨晒しになってしまっても元気に育つものもあり、「本当に細菌感染に弱いのか?」と疑問に思いました。
改めて関連しそうな情報を集めてみたところ、ネット調査ではありますが以下のことを知りました。
・南アフリカは国土の多くがアリディソル(塩類集積した砂漠土壌)で、その土壌分布とリトープスの自生地分布の大部分が重なる
・ハマミズナ科の多くは南アフリカ原産で、他国原産でも浜辺や砂漠に自生している
・耐乾燥性植物の多くは耐塩性または塩生植物でもある
・乾燥地の耐塩性、塩生植物はCa、K、Naなどを積極的に吸収して乾燥に適応している
・K、Mg、Ca、Bは細胞壁の構成に必要で欠乏すると部分的に葉焼けの様な枯死や腐敗した様な壊死を生じる
・各種栄養素の過剰や欠乏で病害虫感染の発生率が上がる
・細菌感染と思われるものでも、枯死や壊死した部分に後から細菌が付着増殖したパターンがある
・リトープス栽培で一般に推奨される施肥の多くはN、P、K主体の肥料がほとんどで、微量要素について言及されていない
・鉢植え管理の場合栄養素の流亡が多い
以上のことから、「リトープスは耐塩性植物または塩生植物であり、無機塩類の要求量が高い植物なのでは?枯死原因は湿気や細菌感染ではなく、栄養不足なのでは?」と推測しております。
自生地の土壌分析やリトープスの生理的機能の研究といった直接的な情報が得られず、質問させていただきました。長文になってしまい申し訳ありませんが、ご指摘いただけましたら幸いです。よろしくお願いします。
bon 様

植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。
いろいろな角度から考察され、枯死や腐敗の原因が栄養不足ではないかという結論になったとのことでしたので、実際の栽培がどのような条件で行われているか調べてみました。NHKテキスト「趣味の園芸」の多肉植物の栽培の専門家の解説では、固形の緩効性肥料を2、3個置くとのことですので、特に無機塩類の要求量が多い植物ではないようです。むしろ要求性は低い植物ではないでしょうか。その他、ネットで調べた栽培条件はほぼ同様な条件で、無機塩類を多量に要求する植物であるという記載は見当たりませんでした。
それでは、どのような原因で枯死や腐敗がおきるのかということになりますが、以前、本コーナーに同様な質問を頂いております。登録番号2094(玉型メセンの腐敗について)で、東京カクタスクラブ顧問の先生と国際多肉植物協会の広報担当の方から回答を頂いておりますのでそちらをご覧下さい。
庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-06-09
植物 Q&A 検索
Facebook注目度ランキング
チェックリスト
前に見たQ&A
入会案内