一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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合弁花類・合弁花・合弁の定義、違いとは?

質問者:   大学生   植物スキー
登録番号5090   登録日:2021-05-26
現代の植物学では、「合弁花類」・「合弁花」・「合弁」の用語がどのように定義されているか、違いはあるのかを教えていただきたいです。


私の認識では、「合弁花」には、①癒合した花弁を持つ分類群の名称 ②花弁が癒合している形態を表す用語、としての二つの用法があると思っています。

そして、「合弁花類」には、①癒合した花弁を持つ分類群の名称、の1つの用法しかないと思っています。

「合弁」はどの用法があるのかわかりません。


現在では、「合弁花類」は単系統群ではないとされているので、①の用法は不適切ですが、引き続き「合弁花」を②の用法で使っても問題はないでしょうか?
植物スキーさん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
回答は基礎生物学研究所の長谷部先生にお願いし、以下のような解説を頂きました。

【長谷部先生のお答え】
合弁:花弁がつながっている(隣あう花弁の境界が癒合している)状態です。
合弁花:花弁がつながった状態の花です。
合弁花類:花弁がつながった状態の花を持つ種類をまとめた群のことです。
合弁花類は少なくとも2回独立に離弁花類から進化していますので、単系統群(1つの祖先由来の全ての子孫を含む群)ではありません。言い換えると現生の合弁花の種類を全て含む単系統群には必ず離弁花の種類が入ってきます。しかし、含まれることになる離弁花の種の数は多くないので、便宜的に合弁花類が使われます。同じ例は、鳥類を含めない爬虫類を爬虫類と呼ぶこと、被子植物を含めない種子植物を裸子植物と呼ぶことと似ています。
被子植物では、似たような形態が何回も進化し、また、逆戻りしています。例えば、葉の対生、互生や、果実の形態などです。しかし、合弁花は一回進化すると離弁に戻ることは少なく、離弁花に較べて有利なのか(花粉媒介昆虫を誘引しやすいとか)、一回癒合すると元に戻るのが難しい仕組みになっているのかだと思われますが、答えはまだわかっていません。
長谷部 光泰(基礎生物学研究所 生物進化研究部門)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2021-06-10
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