一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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玉ねぎの変色

質問者:   その他   カメカメ
登録番号5433   登録日:2022-08-18
子供と野菜から絵の具を作る自由研究をしていましたら、普通の玉ねぎをおろし金ですりおろしたところ、徐々にピンク色に変色しました。玉ねぎの中の何という成分がどのようにして変色させるに至ったかを知りたいので、ぜひ教えていただけたらと思い質問させていただきました。どうぞ宜しくお願い致します。
カメカメさん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
少し違いますが似たような質問が登録番号3134にありますからご覧になって下さい。
ご質問に対する私のお答えはタマネギで確かめていませんの過去の経験からの推定です。
確かにタマネギにはケルセチンというフラボノイド、そのラムノース(単糖の1つ)という糖との配糖体であるケルシトリン(何れもポリフェノール類です)が含まれていますが、これらを酸化して着色物質を生成する酵素はほとんど確認されていません。しかし、フラボノイドが含まれる植物には、その関連成分であるコーヒー酸、クロロゲン酸、カテキンと言った水溶性のポリフェノール類が多い少ないの差はありますがまず共存しています。タマネギにも量は少なくても含まれていると見てよいと思います。これらのポリフェノール類はポリフェノール酸化酵素(同じ細胞の中にありますが、フェノール類と別の小袋に入っています)によって容易に酸化されます。ですからタマネギをすり下ろしたら(細胞をこわしたら)水溶性のポリフェノール類とポリフェノール酸化酵素が混合して酸化が始まります。量が少なければ薄黄色、ピンク色あるいは薄褐色の色になるかも知れません。しかし、アミノ酸のようなアミン類があると酸化物と反応してふつうは赤色の物質になります。タマネギにはアミノ酸が間違いなくありますから、すり下ろしたものを放置すれば、酸化、酸化物とアミン類の反応が徐々に進行してピンクから薄赤褐色になると予想されます。着色の具合は、ポリフェノール類の濃度、酸化酵素の濃度、経過時間によって決まると考えられます。レタスの茎(芯)の切り口やリンゴの切り口が赤色や褐色に変化するのと原理的
には同じです。
今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2022-08-22
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