一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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食物繊維の胃がんへのはたらき

質問者:   大学生   たび
登録番号0627   登録日:2006-05-04
食物繊維の胃がんを抑制する過程を調べています。

色々調べてみたのですが、大腸がんの抑制に働きがある、という記述はよく見られるのですが胃がんに対するものは見られません。
食物繊維は胃がんに効くのでしょうか?
もし効くなら、どのようにして予防または抑制の方向で働くのですか?
教えてください。

たび さま

 食物繊維が胃がんに効くかどうかは、植物について主に研究しているこの学会ではお答えできません。食物繊維は植物細胞のみに存在する細胞壁の成分を主成分とし、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、ペクチン、(特に一部の単子葉植物では)ケイ酸などが主体であり、ヒトの消化管(胃や腸)では消化されません(この他にヒトが消化できない可溶性のキチン、キトサンを食物繊維に含めることもあります)。細胞壁は植物細胞だけに存在するため、野菜を含め植物性食品の摂取量は食物繊維の摂取量に比例します。植物性食品の摂取量が多いと大腸(直腸)がん発生が少ないとの多くの疫学調査から、現在、食物繊維を1日に20-25g摂取することが推奨されています。日本人はかって食塩の摂取量が多すぎたため胃がんが多く(大腸がんはあまり多くなかったのですが)、現在、肉の摂取量が増加し、野菜の摂取量が減少したため、大腸がんが増加する傾向になっています。これから見て、胃がんと植物性食品(食物繊維)の摂取量との間には相関が低いようです。しかし、食物繊維が胃がんの抑制に効果があるかどうかについての研究の現状は、医学の専門家にお尋ね下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
浅田 浩二
回答日:2006-05-18
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