一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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タカノツメの幼葉について

質問者:   その他   藤澤
登録番号0827   登録日:2006-06-28
ウコギ科のタカノツメは三出複葉ですが、30cmくらいの幼木で、一番下の一枚は三出複葉ですが、その上の3枚の葉は、小葉の葉柄がなく、ウリカエデのように3枚の小葉が合体しています。
木が小さい時は葉の鋸歯が大きかったりしますが、ここまで変わったのを見たのは初めてです。
これは、わりとよく起きることなのでしょうか
藤澤 様

タカノツメの葉形に関する質問に回答します。東京大学大学院理学系研究科の塚谷 裕一先生に回答をいただきました。


回答:
「ご質問、拝見しました。タカノツメですか。ウコギ科の植物は、ご指摘の通り、生理的な状態に応じて葉の形を変えるものが多いですね。キヅタは若い頃は3つの角が目立ちますが、やがて丸くなっていきますし、カクレミノも葉の切れ込みが減っていきます。タカノツメも、3枚の小葉がセットになった複葉であるのが標準型ですが、単純な単葉になることもあります。小葉柄が欠けて葉身が癒合したような形になったものをご覧になったというのは、その、複葉と単葉との間の移行形でしょう。その意味では、時々見られるものとお考えになって良いかと思います。
 それにしても複葉になったり、切れ込みが深くなったりする意味は何でしょう?いろいろなアイデアはありますが、まだ決め手になるようなものはないようです。これからも観察をお続けになってみて下さい。何か意味が見つかるかもしれません。
 塚谷 裕一(東京大学大学院理学系研究科)

塚谷先生が挙げられているキズタ(English ivy)の例は実験的にも良く使われた植物です。幼若期から成熟期(花をつけることができる)への移行に伴って、葉の形状だけでなくいろいろな形態的、生理的変化がみられます。おもしろいことに、キズタでは植物ホルモンのジベレリンで処理すると葉の形もふくめて幼若状態に戻ります。タカノツメについてはわかりません。
植物がなぜ色々な形をとるのかという問題はまだまだ研究をつづけなければならない事柄ですね。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2006-07-04
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