一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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光が当たらない器官の緑色の意味は?

質問者:   自営業   博行
登録番号0832   登録日:2006-06-29
植物の器官で日光が当たるところが緑色をしているのは光合成のためですよね。
では光が全く当たらないと考えられる部分の緑色は何の意味があるのでしょうか?

例: アボガドの果肉、キーウィーフルーツの果肉、

樹木の枝や幹で一番外側の樹皮を剥くと緑色をしている事が有りますよね。
それらの緑色の意味はなんでしょう?

よろしくお願いします。
博行 様

 本コーナーに質問をお寄せ下さりありがとうございました。この質問には、クロロフィルのことについて詳しい静岡大学の塩井祐三先生にお答えいただきました。ご参考にして下さい。

[塩井先生の回答]

 果実でのクロロフィルの分布や成熟過程は植物によって大きく異なりますので,貴方が例として示されたものに限って説明します.
 アボガドやキウイフルーツの果肉の緑色はクロロフィルa とbによるものです.高等植物ではクロロフィルの合成には光が必要ですので,これらの果実では,分布に偏りはありますが,合成途上の前駆体ではなく完成したクロロフィルaとbが存在していますので,発芽から現状に至るまでの間の何れかの時期に光が当たっていたということを示しています.また,これらの果実でも果皮が緑色の時には光合成をする能力を持っていることが、パルス変調法と蛍光を用いた活性測定(PAM)などによって証明されています.一般に、大部分の果実は未熟の時は緑色を呈していて光合成能を持ち,果実の成長のためにエネルギーを供給していると思われます.到達する光の強さも関係し、どのくらいの期間かは場合によって異なりますが、緑の部分は光を受けて光合成を行なっていると言えます.木の幹の緑の部分もクロロフィルa とbと思われますので同様のことが言えますが,両者ともそれ以上の意味については分かりません.
静岡大学理学部
塩井 祐三
回答日:2006-07-04
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