トマト(Solanum lycopersicum)において、サリチル酸カルボキシメチルトランスフェラーゼ(SAMT)は防御ホルモンであるサリチル酸(SA)を揮発性メチルエステルのサリチル酸メチル(MeSA)に変換する。今号でSorgらはSAMTの発現が食害に対して誘導されることを報告している。著者らはSAMTを過剰発現系統およびアンチセンス系統を用いて、SAMTがトマトの害虫防御において多面的な役割を果たすことを示した。この役割には、MeSAが害虫に対して直接的に抑止効果を発揮することに加え、植物の防御シグナル伝達や植物化学防御物質の産生に対する間接的な影響も含まれる。したがって、この酵素はトマトの害虫抵抗性において重要な役割を担っている。
表紙画像は、2ヶ月齢のトマト(Solanum lycopersicum cv. M82)の葉を摂食する第三齢期のタバコスズメガ(Manduca sexta)幼虫を示している。画像には、サリチル酸メチル(MeSA)の化学構造も示されており、この揮発性物質はタバコスズメガの摂食行動と成長に影響を与える。
Photo credit: Ariel Sorg, United States Department of Agriculture - Agricultural Research Service, Gainesville, Florida, USA.
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Photo credit: Ariel Sorg, United States Department of Agriculture - Agricultural Research Service, Gainesville, Florida, USA.