酸素発生型光合成は、光エネルギーを用いて有機物を生産し、地球環境を支える極めて重要かつ大規模な生化学反応である。 多様な光環境下で光合成を最適化するための基礎反応については、構造生物学、植物生理学、その他関連分野を統合したアプローチにより解明が進んできた。本特集号（編集責任者：Jian-Ren Shen, Toshiharu Shikanai, Mei Li, Maria Ermakova, Wataru Sakamoto）は、光合成における光エネルギー変換反応の基礎、作用機構、および応用展開に焦点を当てた内容を紹介するものである。
表紙イラストでは、光合成反応を構成するタンパク質複合体をスーパーヒーローに見立てた「光合戦隊ヒカレンジャー」が描かれている。このコンセプトは日本のスーパー戦隊シリーズ（海外では Power Rangers として知られる）に着想を得たもので、各キャラクターはそれぞれ異なる光合成複合体を象徴する（Red: Photosystem II、Green: Photosystem I、Blue: Cytochrome b6/f、Purple: NADH dehydrogenase-like complex、Yellow: ATP synthase）。彼らが、葉緑体を想起させる宇宙船上で光エネルギー変換反応を遂行し地球を守る様子が表現されている。