モノテルペンは炭素数10の化合物群であり、その揮発性と多様な化学構造により、市販のハーブや果物の特徴的な香りや風味を担っている。ゲラニル二リン酸(GPP)はモノテルペン生合成の唯一の基質であり、通常はプラスチド内でメチルエリスリトールリン酸経路を介して合成される。一方、イチゴ(Fragaria × ananassa)では、GPPは細胞質基質でメバロン酸経路を介して合成され、(S)-リナロールの生合成に利用される。しかし、GPP生合成に関わる酵素はこれまで明らかになっていなかった。本号において、橘らは、細胞質基質に局在するプレニル二リン酸合成酵素が、GPPと少量のファルネシル二リン酸を生成するという特異な二重機能を有することを明らかにした。この酵素のユニークな性質は、バラ科植物において共通して進化した可能性が示唆される。
表紙画像は、熊本県農業研究センターが育成したイチゴ品種「ゆうべに」の完熟果実。本品種は、イチゴの香りにフローラルなニュアンスを加えるモノテルペン(S)-リナロールを豊富に生産する。写真提供: 矢崎一史博士(京都大学 生存圏研究所)
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