ひとつのイネの穂には100以上の花が咲き、それらが種子を実らせ、やがておコメとして収穫されます。たくさんの花をつけるために、穂はその発生初期に多数の分枝を作ります。それぞれの枝にいくつもの花がつき、最終的にたわわに実る稲穂ができあがるのです。穂の基本的な構造は、穂の発生初期に決定されます。この時期の穂は非常に小さく、また、茎が伸びていないため、地面に近いところで葉に包まれています。写真は、最初の分枝を作っているころのイネ穂を縦に切ったものです。この時期の穂は直径1ミリ以下です。紫に染色されているのは OsPID と名づけたシロイヌナズナ PINOID のイネ相同遺伝子が発現している領域です。in situ ハイブリダイゼーション法を用いれば、遺伝子の発現領域を細胞ごとに可視化することができます。PINOID はオーキシン輸送の制御に関わることが知られていますが、この論文で Morita と Kyozuka は OsPID も同様の機能を持つことを報告しました。今後の課題は OsPID がイネの成長において果たす役割の解明です。
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