植物生理の研究において、栄養成分、水、電解質などを送る維管束系がどのように発生して分化するのかは重要な課題です。そのなかで篩部 (篩管) の発生経過を観察することは、これまで容易ではありませんでした。Bauby らは、共焦レーザー顕微鏡を用いることにより、篩部が発達するプロセスの実例を示すことに成功しました。この写真は発芽後24時間目のシロイヌナズナの胚軸をアニリン - ブルーで染色し、縦方向に切った切片の顕微鏡写真です。原生篩部前駆体細胞が篩部へと分化していく様子が、写真上部から下部の根の方へと段階を追って観察できます。ちょうど真ん中あたりに、骨のような形をした白くくっきりした細胞がいくつか見えますが、これが分化途中の原生篩部細胞です。細胞の中の核が無くなり、細胞壁が厚くなっていくために、強い蛍光が現れ、このように観察できます。
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