「イネの花粉の形成と発芽」
お米がみのるためにはイネの花が咲き、花粉がめしべに受粉する必要があります。右側手前の写真はイネの開花の様子、背景の写真は花粉が雌しべの先端で花粉管を伸ばしているところです。こうして受精が行われお米が稔ります。このステップは環境ストレスを受けやすいデリケートな生育ステージであり、冷害などによる凶作にも関わるため古くから注目されてきました。しかし、分子生物学全盛の現在でも未解明な部分が多いステップです。
花粉の形成と発芽にはエネルギー生産器官であるミトコンドリアが重要です。本号の633-640ページではFujii・Toriyamaによってイネの花粉の正常な機能にはDCW11と呼ばれる遺伝子が必須であることが報告されています。DCW11はミトコンドリアに局在するタンパク質で、その他のタンパク質の脱リン酸化、すなわち化学修飾を担っています。DCW11を足がかりにして、花粉の形成と発芽におけるミトコンドリアを介した分子遺伝学的ネットワーク解明が期待されます。
東北大学大学院農学研究科
藤井壮太・鳥山欽哉
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