オゾンのような有毒なガス状物質が植物に作用するときには、気孔を通って葉に取り込まれるため、気孔の開閉の制御が最初の防御メカニズムであると言われてきました。佐治・Bathula・久保ら (本号2~10ページ) は、シロイヌナズナのオゾンに弱い突然変異体を新たに単離し、その気孔が野生型のシロイヌナズナより大きく開いていることを示しました。これは、先に述べた仮説を裏付ける遺伝学的な証拠となります。この突然変異体は、トランスポーター様のタンパク質の遺伝子が壊れたものであることがわかり、この遺伝子が気孔の開閉にかかわっていると考えられます。このトランスポーター様タンパク質は、テルル耐性-ジカルボン酸トランスポーターファミリーに属していました。表紙の図には、上段に温室で2ヶ月間育てた植物の写真 (wt:野生型、ozs1:突然変異体)、下段に熱画像が示されています。突然変異体では、熱画像で低温を示す青色の部分が野生型に比べて多くなっていますが、これは気孔開度が大きいために蒸散による葉温の低下が大きいからであると考えられます。
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