「百聞は一見にしかず」
生物学研究における著しい技術の進化や機器の発展により、遺伝子発現、タンパク質の蓄積など様々なデータが大量に生み出されています。この膨大なデータは、データベースに蓄積され、様々な解析に用いられています。植物における細胞小器官 (オルガネラ) の研究においても、イメージング技術の進歩により、生きた細胞での観察が容易となり、大量の画像や動画データが生産されデータベースに蓄積されています。
植物オルガネラは、その機能や形、大きさ、数、細胞内局在性などを、植物の種類はもちろんのこと、同じ植物種においても組織や細胞、生長段階、あるいは環境からの刺激などにより柔軟に変化させます。この柔軟なオルガネラの動態こそが高等植物における特徴ではあるものの、同時に解析を複雑にさせており、文字情報だけではその動態を説明し理解することは難しい状況となっています。画像データベースは、オルガネラの動態を画像や動画として可視的に提供できるため、ユーザーにとっては文字情報のデータに比べ、より理解しやすい形でオルガネラの動態を把握できます。
12月号の表紙にある写真は、筆者らが構築している植物オルガネラデータベース (The Plant Organelles Database 2; PODB2) に登録されている画像の一部です。PODB2のURLは http://podb.nibb.ac.jp/Organellome/ です。是非、一度、本データベースにアクセスしていただき、植物細胞に含まれる様々なオルガネラのダイナミックな動きをご覧下さい。動物に比べ、一見静的な印象を与える植物ですが、細胞の中では非常に活発にオルガネラが動いていることがご理解いただけると思います。こうしたオルガネラの動きが植物細胞を、ひいては植物個体を支えているのです。
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