「オミックス&バイオインフォマティクス特集号」
ゲノム解読が現実的ではなかった時代には、個々の研究の対象となる遺伝子はほんの数個でした。しかし近年、数千、数万の遺伝子や、タンパク質、代謝物が織り成す複雑なネットワークの解析の中から、新たな知見を見いだそうとする研究分野が生まれました。それがオミックスです。遺伝子の構造や機能解析 (ゲノミクス)、遺伝子の転写発現解析 (トランスクリプトミクス)、タンパク質の構造や発現解析 (プロテオミクス)、代謝産物の網羅的な解析 (メタボロミクス)、そして形質や表現型の解析 (フェノミクス) などが含まれます。オミックス研究で得られた膨大なデータの中から生物学的に意味のあるデータを抽出し、コンピュータを駆使して生物学の問題に取り組む学問がバイオインフォマティクス (生物情報学) です。バイオインフォマティクスの技術によってオミックスというアプローチが可能になり、生命科学研究の潮流が変わったといっても過言ではありません。今後の生物学の研究は、ますますこの2つの学問領域が重要になると考えられます。植物科学においても、2000年にシロイヌナズナの全ゲノム配列が明らかになり、オミックス研究が盛んになってきています。7月号では 「オミックス&バイオインフォマティクス特集号」 として、日本の研究者による最先端の研究が紹介されています。本号の表紙は生命の設計図とも言えるDNAの二重らせん、植物生長をコントロールするホルモン、複雑な代謝マップやオミックス解析に用いられる解析機器など織り交ぜることで、植物におけるオミックスとバイオインフォマティクスの世界を表しています。
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