種子は効率的な植物の散布ユニットです。この目的のため、種子は生物活性を失うことなく休眠状態を保持する能力をもつようになるなどの多くのユニークな生存戦略を進化させてきました。休眠と出芽を調節するメカニズムは、ホルモン、代謝、遺伝子発現のパターンが変化することにより制御されています。今月の特別号では、Seed Biology分野の最近の研究の進展、さらに応用の可能性を含む将来の展望を特集しています。その一つとして、寄生雑草の種子を取り上げています。これらの植物は宿主から滲出された物質に誘引され発芽する戦術を取っています。これとは対照的に、種子や果実は他の種の種子発芽を抑制するために阻害剤を生成することもできます。表紙は、他感作用があり天然除草剤と推定される Myrigalone A (MyA) の種子発芽に対する効果を示しています。右上の図は、ヤチヤナギ (Mirica gale) の果実 (濃褐色) から漏れ出たMyAによってガーデンクレス (Lepidium sativum) の種子 (淡褐色) が発芽抑制されることを示しています。中央の図はクレスの胚におけるスーパーオキシドラジカルのニトロブルーテトラゾリウム染色を、下の図は活性型ジベレリンの生合成を示しており、それらのいずれもがMyAの影響を受けます (Oracz et al.; page 81-95)。
Gerhard Leubner / Krystyna Oracz
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