高等植物とは異なり、微細藻類は超乾燥、高塩分、強光条件が重なった環境でも生存可能である。Kawasakiらは、乾燥かつ強光照射下で6か月以上生存し、その際に緑からオレンジに変色する真核微細藻類Ki-4株を同定した (p.1027-1040)。また、塩ストレス処理したKi-4株の細胞抽出液からアスタキサンチンを結合するオレンジ色の水溶性カルテノイドタンパク質 (AstaP) を単離した。AstaPは、光照射による酸化ストレスにより細胞内に蓄積するほか、一重項酸素消去活性および日焼け抑制作用という二機能性をもつ熱耐性タンパク質として働くことが示唆された。
カバー写真は、真夏時の乾燥した高温アスファルトの表面から単離された真核微細藻類Ki-4株をシングルコロニー培養したものである。Ki-4株は、強光照射下で脱水ストレスに耐える能力をもつ株として、砂漠や海辺を含む 様々な場所から採取された40株の中から選択された。
川崎信治 (東京農業大学・バイオサイエンス学科)
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