特集号: 青色光応答
シロイヌナズナrpt2 単一変異体 (上) とphot1 rpt2 二重変異体 (下) の写真。光量が 70μmol m-2s-1 の白色光下で生育させたとき、rpt2 単一変異体はカールした葉と傾いた葉柄をもつが、二重変異体は正常な形態を示す。rpt2 単一変異体にさらにPHOT1 変異を導入することで野生型表現型へ戻る典型的な例を示している。
青色光受容体であるフォトトロピン (phot1 と phot2) は光屈性、葉緑体運動、気孔開閉に加えて、青色光依存的な葉の位置決定と伸展を仲介している。これらの応答は光合成の最適化や植物体生長の促進につながっている。RPT2 (ROOT PHOTOTROPISM2 根光屈性2) はphot1依存的な光屈性のシグナル因子の一つとして同定されたが、葉の形態形成における役割についてははっきりしていなかった。この特集号に掲載された原田らの論文では、RPT2の葉の位置決定と伸展における役割が明らかにされている。rpt2 単一変異体ではphot1 phot2 二重変異体と同様に、葉の位置決定と伸展に異常が見られた。驚いたことに、rpt2 変異体にさらにPHOT1 変異を導入したphot1 rpt2 二重変異体では単一変異体でみられた表現型が野生型へと回復した。これらの遺伝学的解析からRPT2はphot1依存的に葉の位置決定と伸展に関与していることが明らかになったほか、rpt2 変異体においては、phot1がphot2のシグナル経路を阻害している可能性が考えられた。
原田明子 (大阪医科大)
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