「亀裂に注意: 花茎の成長を支える細胞分裂と細胞伸長のバランス」
植物の器官形成は、それを構成する細胞の数とサイズの頑健な制御の下にある。器官サイズ制御に関する過去の研究は、葉や花器官などについて集中してきたが、花茎については先例がない。前田ら (pp.1994-2007) は今回、細胞分裂と細胞伸長の双方に欠損を持つシロイヌナズナclv3 det3-1 変異体について解析し、その花茎がしばしば亀裂を生じて内部組織を裸出させることを見いだした。本研究からは、茎の内部組織における細胞増殖は外部に向けて機械的な張力を伴うこと、そしてそれは表皮における適切な細胞伸張によって緩和される必要があることが示唆される。こうした制御が破綻した場合は器官の亀裂が生じると考えられる。
表紙写真はclv3 det3-1 二重変異体の花茎に生じた亀裂を SEM 画像として示す。
supplied by Ali Ferjani and Shizuka Gunji, Tokyo Gakugei University, Japan
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