「グラナの構造変換による PSII 修復の促進」
光化学系 II (PSII) の反応中心結合タンパク質D1は過剰な光によって損傷を受けた時、PSII 修復プロセスの中でFtsHプロテアーゼによって除去される。通常、ストロマチラコイドにあるFtsHプロテアーゼはグラナに存在する PSII 複合体に容易に接近することができない。それは、グラナがきっちりとスタックしているためである。西村ら (pp.1225-1265) は透過型電子顕微鏡を使って、チラコイド膜のユニークな構造変化を観察した。グラナは強光下で辺縁部からアンスタックし、グラナマージン部分が広がる。これはFtsHが損傷を受けた PSII まで移動するのを助け、素早い PSII 修復を可能にしている可能性がある。
表紙は、ホウレンソウ葉の強光照射前 (上パネル) と後 (下パネル) のチラコイド膜の3次元モデルである。
西村美保 (岡山大学)
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