すべての真核細胞では、トランスゴルジネットワーク (TGN)、エンドソーム、液胞等のポストゴルジオルガネラは膜交通によって結ばれている。TGNは小胞体からゴルジ体へと輸送されたタンパク質が、液胞、細胞膜等の目的地別に選別・輸送される際の分岐点となる重要なオルガネラである。しかしながら、植物細胞におけるTGNの機能やダイナミクスについてはほとんど明らかになっていない。この号で、植村ら (pp.694-703) は超解像共焦点ライブイメージング顕微境を用いてシロイヌナズナの根の細胞のTGNのダイナミクスを観察し、2種類のTGNが存在することを発見した。一つは、ゴルジ体のトランス槽側に隣りあわせで存在するGA-TGNs (Golgi-associated TGNs)、もう一つはゴルジ体とは独立して存在するGI-TGNs (Golgi-released independent TGNs)。またGI-TGNはGA-TGNから分離して形成されることも発見した。
表紙の写真は、シロイヌナズナの根の分裂領域の細胞におけるGA-TGNの3次元の超解像イメージである。TGNマーカーであるGFP-SYP43 (緑) とトランスゴルジ槽のマーカーであるST-mRFP (マゼンダ) を共発現したシロイヌナズナを観察には用いている。GA-TGNはゴルジ体のトランス槽側に隣りあわせで存在し、凸凹した形態をしていることが示されている。
植村知博 (東京大学大学院理学系研究科)
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