「浸透圧ストレスに直面した時の幹細胞アイデンティティー因子SPEECHLESS」
水不足や浸透圧ストレス下では、植物はシュートの成長を大きく抑制する。この抑制は適応反応であると考えられているが、成長抑制の分子機構は良く解っていない。シロイヌナズナは浸透圧ストレスにさらされると、mitogen activated protein kinaseカスケードを介し、葉表皮の幹細胞であるメリステモイド母細胞の形成と維持を担う転写因子であるSPEECHLESSの量を減らす事、さらにこのことが気孔とペーブメント細胞の形成抑制の原因である事をKumariら (pp.2037-2046) が示した。この経路をブロックすると、成長抑制が阻害される。
表紙写真は、発芽後5日目に24時間高浸透圧に置いたシロイヌナズナ (右) とコントロール培地で24時間育てたシロイヌナズナ (左) の第一葉の写真である。写真に重ねた図は、葉の表皮細胞の発生過程を制御するシグナル経路とストレスシグナルの統合を示している。
Tatsuo Kakimoto, Osaka University, Japan
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