根におけるホウ素移動の数理モデル解析
植物の生存・成長・繁殖プロセスを定量的に理解するためには、興味の対象となる分子の定量とともに、対象プロセスの主要な要素を考慮した数理モデルが必要となる。本特集号において、下遠野と反田ら(pp. 620-630)は、根におけるホウ素の分布を測定する実験方法を開発するとともに、シロイヌナズナの根におけるホウ素の移動に関するモデルを開発した。このモデルでは、細胞及び細胞内レベルでのホウ素の移動を計算できる。この実験データと数理モデルの統合によって、根には、ホウ素の取り込みとホウ素のシュートへの移動を司る別々の領域が存在することが明らかになった。
表紙はシロイヌナズナの根において、時間とともにホウ素の分布がどのように変化するかをシミュレートしたものである。
写真提供 : 反田直之(東京大学)、Verônica A. Grieneisen (John Innes Centre)、藤原徹 (東京大学)
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